青春マンガ傑作の系譜とか
■昨日書き忘れたが、映画観る前に例によってF書店。二ノ宮知子『のだめカンタービレ』第10巻と石田敦子『アニメがお仕事!』第1巻。
『アニメがお仕事!』は「漫棚通信ブログ版」の記事で興味を持ってたので、探したのだが、見つからない。店内検索端末で場所が判明。ありゃ、角川とかエニックス系と決めつけてたら少年画報社なのか、それは見つからんよなあ。
新人アニメーターを主人公に据えた青春モノ。ほわほわ系の絵柄は正直好みではないけれど、過酷な環境の中、夢を信じて進む、という直球な展開はいいなあ。それにしても、アニメ業界に厳然と存在するというヒエラルキー、こうしてお話にして見せられると、うーむ、な感。
それはともかく、読者の数%しか分からんであろうカープネタがある意味たまりません。伝説の美青年投手・高木とか「月刊カープファン」とか。懐かしすぎ。
■かなり私的な「青春マンガ傑作の系譜」(少女系除く)というのがあって。
ほんまりう『息をつめて走り抜けよう』
あすなひろし『青い空を、白い雲がかけてった』
柳沢きみお『翔んだカップル』
安達哲『キラキラ!』
これに松本大洋『ピンポン』を続けるかどうか迷うとこだけれど(スポーツものとしての側面も強いので)。まあ何をもって「青春マンガ」と言うのかと正面から問われるとアレだが、スポーツとか何かのバトルとか謎解きとかが主なのではなく、青春期特有の問題についての作品、みたいな感じでひとつ。なお、いま言ってる傑作の系譜というのは分析的なものでなく体験的なもの。
こうした作品に共通するのは、時代の「空気」を濃密にまとっているところなのだが、同時に、普遍的な「何か」を含んでもいるわけで。
ここで挙げた少なくとも最初の2作品はずいぶん埋もれた存在になってる。と思ったら、きょう(正確には昨日)F書店でたまたま、あすなひろし『青い空を、白い雲がかけてった』再刊と単行本初収録作を含む短編集『いつも春のよう』(ともにエンターブレイン)を見つけた。奥付によると7月刊行だったのね。もう没後3年余りが立つのか…。
■『青い空を、白い雲がかけてった』をたぶん二十数年ぶりに再読。あらこんなにギャグが多かったっけ(ヤマトネタなんてあったんだなあ)とかずいぶん記憶が飛んでることが分かったけど、じわじわと染みてくるなあ。すっと入るモノローグ的文句がとてもいい。「きみは夏をみたか それは心躍る風 白い太陽」。青春とは春ではなくて夏なのだな。
短編集『いつも春のよう』がこれまた素晴らしい。叙情味あふれる、と一言で言うのは簡単なのだが、叙情を表現しきるには、精神的な深みと、揺らぎのないテクニックが必要なわけで。この人には、単行本化されていない佳作がずいぶんあるそうなのだが(選集も出てるけど、どれだけフォローできているのかは知らない)、マンガの質の評価に関してはかつてより恵まれているはずの今の時代に、あすなひろしがこのままの実力を持って登場したら、もっと…とつい思ってしまう。
27年前の作品「幻のローズマリィ」のクライマックス、少女マンガ的な技法も取り入れつつ(というか彼はもともと少女マンガも描いてた)、元ダンサーの小料理屋のおばちゃんの舞を描くシーンの美しさは、いま読んでも、息が一瞬止まるような。
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Comments
こんにちは。あすなひろし、いいですねえ。彼の描くオヤジ顔ってご本人そっくりなんですよね。
Posted by: 漫棚通信 | 2004.09.16 at 11:04 PM
コメントとトラバ、どうもです。個人的には、「少年チャンピオン」
黄金期のころの作品がやはり印象深いですが、青年誌での作品も
すごくいいですね。選集も買おうかな。
Posted by: んばぎ(一知全解) | 2004.09.17 at 04:54 AM
あすなサイト管理人、たかはし@梅丘です。
はじめまして。
お取り上げいただきありがとうございます。
あすなさん没後、2ヶ月ほどしてWEBでみなもと先生の追悼文を読んで、あすなひろしの並程度のファンである(今もだと思ってますが)私は意を決してコンタクトを取って、今に至ってます。
選集向けに改めて追悼文をお願いしましたが、追悼文としてはやはりあれ以上のものは描けないとのことで、若干の加筆で選集1に再録いたしました。
作品世界全体を見渡してのフォローとのことですが、選集とエンターブレイン版で約1000ページくらいが入手可になりましたが、大雑把に言って発表原稿の10~20分の1程度のオーダーだと思います。でもって、ファンは少女漫画、青年漫画、少年漫画とそれぞれにリクエストが違いますし、どうしていいのやらという感じであります。
まあ、まだまだやることが山積みながら、楽しいは楽しいです(笑)。あと選集は儲けは次の運転資金に回すルールにしており、技能工以外はボランタリーです。というわけで、お気にかかりましたらよろしくです。
青春マンガ傑作の系譜ということで、なんとも不安定な気分のセレクト私もシンパシーを持って拝見しました。
恋愛が脇に置かれた(完全に外れてはいない)青春マンガだと、(好みかどうかはさておき)山本おさむ「ぼくたちの疾走」とか織みゆき「ふられ龍之介」なんてのも浮かびますね。
特に後者のグネグネとした情けなくも、妙にひきつけられる雰囲気(絵はむちゃくちゃ下手ですが)は秋田書店-チャンピオンの芸風じゃないかと、十年くらい前に友達の飲み屋さんで泥酔して結論したような気がします。
ではまた。
Posted by: たかはし@梅丘 | 2004.09.22 at 12:56 AM
たかはしさん、はじめまして。丁寧なコメントどうもです。
ファンが力を合わせての出版活動というのは、とても素晴らしい
ことだと思います。何のお力にもなれませんが、頑張ってください。
みなもとさんの追悼文は、本当に心に響く文章ですね。
織みゆき「ふられ龍之介」はまったく知りませんでした。
ちょっとネットで検索かけてみましたが、面白そうですね。
探してみようと思います。
Posted by: んばぎ(一知全解) | 2004.09.22 at 04:43 AM